

品質管理についての意見交換を定期的に行う現場作業員のグループ、「クオリティー・サークル」が、不良品ゼロの生産を目的としてつくられる。
全社的品質管理はまさしく一大ブームとなり、秘書たちまでもがベルが3回鳴らないうちに急いで電話に出るようになった。
あらゆる企業で業務の再編成が叫ばれ、中間管理職は不要在庫もろとも処分されていった。
ミッションとビジョン、企業文化や価値観について社内で積極的に議論が行われ、企業は自らを「学習する組織」と意味づけるようになった。
チームプレーが推奨され、上から下への命令系統が意味をなさなくなっていった。
おそらくこれらすべての動きに対応して、経営理論の第一人者であるP。
F・Dはこう語った。
上下関係をほのめかす「マネジメント(経営)」という言葉はもう使いたくない、と。
その代わりとして、Dは「エグゼクティブ(執行)」という言葉をより多く使うようになった。
この言葉は、ある分野での責任があることを表し、人を支配するという意味は含んでいないからだ。
しかし、呼び方をどう変えたところで、ごまかすことはできないのである。
T主義はしぶとく生き残っている。
確かに、労働者に考えることを求めるほうが、彼らを機械の一部のように扱うことよりも思いやりのある態度だ。
しかし、雇用主も、労働者も、誰が誰のために働いているのか、誰がボスであるのか、はっきりとわかっている。
経営陣や管理職にある者たちは、「部下に力を与える」ことを求められる。
部下の士気が高まったほうが、生産性も上がるからだ。
実際のところ、現在の労働者監視システムは、Tが想像したよりも遥かに「科学的」になっているのである。
そうこうするうちに、新しい労働者たちは自分なりの収支決算について声高に語るようになっていった。
彼らにとっては、家庭もまた大切なものだ。
アメリカの労働人口のうち、ほぼ10人に9人が家庭を持っている。
全米の労働者を対象に行った調査によると、従業員の家庭のサポートを行っているかどうかが会社選びの重要な要素になると答えた人が全体の半数以上、そして回答者の60パーセントが、仕事がプライベートの生活に与える影響のほうが、収入や福利厚生、さらには雇用の安定よりも大切だと答えている。
おそらく、このような労働者の態度の変化は、20世紀の終わりになって女性が労働市場に多数参入してきたことが、最も大きな原因になっているのだろう。
女性の参入は劇的な結果をもたらした。
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